グレープフルーツは高血圧に有効?/お悩みQ&A

グレープフルーツは高血圧に有効?

5年前から高血圧と狭心症で薬を飲んでいます。薬局に処方箋を持って行くと「グレープフルーツを食べると血圧が下がるので食べないように」と、薬剤師さんより指導を受けました。血圧が下がるなら薬を止めて、グレープフルーツを毎日食べたいのですが、どうなのでしょうか?

(70代女性)

血圧治療薬との「食べ合わせ」に注意

清元 秀泰〔姫路市長 元東北大学教授 腎高血圧内分泌科〕

 高血圧や 狭心症 きょうしんしょうの治療にはカルシウム 拮抗薬 きっこうやくがよく処方されます。グレープフルーツなど 柑橘 かんきつ系果物に含まれる「フラノクマリン」という成分は、このカルシウム拮抗薬の分解を抑える作用があり、一緒に摂取すると予想以上に血圧が下がることがあります。最近は1日中じわじわと効果が持続する薬が主流で、服薬時間とずらしてグレープフルーツを食べても副作用のリスクが生じます。

 薬物代謝は酒類に対する適応性と同様に個人差があり、遺伝的体質によって作用が強く出たり、副作用が出やすくなったりします。この食べ合わせによる血圧低下の副作用にも個人差が大きく、正確には遺伝子検査をしない限り、予測は不能です。また、グレープフルーツに限らず苦味のある夏みかんや、ザボンなどの柑橘系果実でも同様の薬効の増強が起こります。そのため、一般的にカルシウム拮抗薬を服用している人は苦味のある柑橘類を食べることやその生絞りジュースを飲まないように、薬剤師さんは注意喚起の服薬指導をしているのです。

 ご相談の血圧治療薬の代わりにグレープフルーツを単独で食べても血圧は下がりません。カルシウム拮抗薬という薬を飲んでいる人にだけ起こる「食べ合わせによる副作用」です。しかし、グレープフルーツ単体は危険な果物ではありません。また、普通のみかんやオレンジには「フラノクマリン」が含まれてないので、薬とともに食べても安全です。

(兵庫県姫路市・超正寺門徒)

『本願寺新報』2018年4月10日号掲載