すい がんは治らない?/お悩みQ&A

すい がんは治らない?

主治医に5年生存率は20%前後と言われました。そして抗がん剤治療は一生涯続けていかなくてはならないとのこと。初めは、たいした副作用は無かったのですが、最近はかなりきついのです。抗がん剤は生きている限り飲み続けなければならないでしょうか?やはり膵がんは治らない病気でしょうか?

(60代男性)

有効な抗がん剤で生存確率は2倍に 

上野 富雄〔川崎医科大学(岡山県倉敷市)主任教授 消化器外科〕

 5年生存率(5年後に生存している確率)が20%と言われたとのことですので、恐らく、 根治 こんち 手術を受けられたのではないでしょうか? 手術にはいわゆる"がんが取り切れた〟とする根治手術と、食事の通り道がふさがったときに別の通り道を作るといったバイパス手術といわれるような 姑息 こそく 手術(症状緩和手術)があります。
根治手術は膵がん唯一の治療法で、術後にゲムシタビンといわれる抗がん剤を続けると、5年生存率はおおむね20%前後といわれていました。
 最近、膵がんに有効な抗がん剤が増えてきています。特にエスワンといわれる抗がん剤を根治手術後に6カ月間服用してもらった192人の患者さんのデータでは、5年生存率が44・1%と2倍にまで改善しています。膵がんは治らない病気といわれていましたが、この数字を高いとみるか、低いとみるかで、受け止め方は変わると思います。
 抗がん剤を一生飲み続けなくてはならないと言われたそうですが、根治手術が行われていれば、一生続けるといったことはなく、半年とか1年で終了し、定期的に検査を行い、再発が認められれば、抗がん剤治療を再開するというのが一般的です。ただし、根治手術にも"ここまでやれば大丈夫〟といった基準はありません。相談者さんの場合は、もしかしたら、根治手術に近い手術にはなっているけれども、がんの進行度からいえば再発する可能性が極めて高い、と主治医の先生は考えておられるのかもしれません。

(大分県中津市・成満寺門徒)

『本願寺新報』2018年5月10日号掲載