ひどい胸焼けが…/お悩みQ&A

ひどい胸焼けが…

食後に胸焼けがする、ゲップが出たり喉に酸っぱいものや苦いものがこみ上げてくる感じがしたりします。横になったりすると胸焼けがひどいように思います。特に季節の変わり目などは症状が強く感じるのですが。

(38歳男性)

逆流性食道炎では?内視鏡検査の受診を

上野 富雄〔川崎医科大学(岡山県倉敷市)主任教授 消化器外科〕

 症状からは逆流性食道炎が考えられます。逆流性食道炎とは、強い酸性の胃液(ご存知のように塩酸です)が、食道に逆流して、食道が炎症を起こし、胸やけや胸の痛みなどさまざまな症状が生じる病気です。
 もともと日本人には少ない病気といわれていましたが、食生活の変化(脂肪摂取量の増加)などによって、最近、訴えられる患者さんが増えています。普通は食道と胃の境目近くにある下部食道 括約 かつやく 筋といわれる筋肉が、胃液などが食道に逆流しないようにしています。これが加齢・食事の内容・肥満・姿勢など、逆流から守る仕組みが弱まるか、ピロリ菌感染率の低下などによる胃酸分泌量が増えすぎると、胃液の逆流が起こります。なにを隠そう、私もこの前、健診で胃の内視鏡検査を受けましたが、「逆流性食道炎がありますね」と先生から指摘されたばかりで、現在、強めの酸分泌抑制薬を飲んでいます。
 食後、腹圧の上がるような前かがみの姿勢を避けたり、生活習慣を変えることで、ある程度の予防、治療が可能ですが、服薬による治療が有効といわれています。また重症の逆流性食道炎は、食道がんが発生しやすいことも知られています。もし質問者の方が、たばこを吸う方、お酒を定期的に飲む方(特に少量でも飲むと顔が赤くなる方)、熱い食事・刺激の強い食事を好む方、野菜や果物をあまりとらない方ということなら、ぜひ一度、内視鏡検査を受けてみてください。

(大分県中津市・成満寺門徒)

『本願寺新報』2018年5月20日号掲載