帯状たいじょう疱疹ほうしんは予防できるか?/お悩みQ&A

帯状たいじょう疱疹ほうしんは予防できるか?

友人(74歳男性)が胸から背にかけて帯状疱疹にかかりました。皮膚科を受診し、抗ウイルス剤、消炎鎮痛剤などの薬で皮膚の症状は治りましたが、痛みが残り、夜も十分に眠れず、今も通院中です。帯状疱疹の予防について、詳しく教えてください。

(72歳男性)

重症化しないようワクチンで予防を

江川政昭〔江川皮ふ科クリニック(広島市)院長 皮膚科専門医〕

 帯状疱疹は、子どもの時にかかる水痘すいとう(水ぼうそう)のウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が原因で生じます。高齢者に多い病気です。
 このウイルスは水痘にかかった後も神経節に潜伏し、加齢、疲労、ストレスなど免疫力が低下した時に、再び活動し、神経を傷つけて痛みを生じさせ、神経に沿って皮膚に帯状で水ほう (水ぶくれ)ができます。特に高齢者などで重症化し、皮膚症状が治った後も長期間にわたり帯状疱疹後神経痛という痛みが残ったり、神経の部位によっては顔面神経麻痺まひ、難聴など合併症を生ずることがあります。
 帯状疱疹の予防についてお尋ねですが、水痘ワクチンが有効です。
 2014年より、小児を対象に水痘ワクチンが定期接種化され、水痘患者は減少しています。
 逆に帯状疱疹患者が増加しています。水痘患者が減少することにより、水痘帯状疱疹ウイルスにさらされる機会が減少。その結果、このウイルスに対する免疫力(特異的免疫)が低下し、潜伏していたウイルスが、再び活動を開始して、帯状疱疹の患者が増加すると考えられています。
 数年前より、帯状疱疹予防のため、50歳以上の方は経費は自己負担ですがこの水痘ワクチンの接種が承認されています。接種により、帯状疱疹の発症、重症化、帯状疱疹後神経痛の発症の減少が報告されています。
 帯状疱疹予防に水痘ワクチンを希望する方は、医療機関にご相談ください。

(広島市東区・覚法寺門徒)

『本願寺新報』2018年7月20日号掲載