共通の課題を一緒に考えたい/つながる医療と仏教
共通の課題を一緒に考えたい

10年ほど前に、西本願寺医師の会の発起人になってほしいと連絡をいただきました。当時、本願寺の評議員を務めていたことから推薦していただいたのかと思います。私も以前から、医師と僧侶のダブルライセンスを持った方が全国に何人くらいいらっしゃるのか知りたいなと考えていましたし、素晴らしい趣旨の企画だと思って、会の発足のお手伝いをさせていただきたいとお返事したことを覚えています。最初は30人も集まればいいかなと考えていましたが、現在は200人を超える会員になり、あらためて医療と仏教の協働に関心をお持ちの方が多いと感じています。
私は、奈良の田舎のお寺の長男として生を受け、高校生の頃から奈良教区の仏教青年会で活動してきました。仏青の活動を通じて、こころの悩みと身体の病は切り離せないということを感じ、医師を目指すきっかけになりました。弟が仏教の道に進むことを決めており、家族も医師への進路を応援してくれました。医学部の1年生の時に得度を、5年生の時に教師の教修を受け、医師になってからは一般・消化器外科の道を選びました。
外科医としては、主にがん患者さんの治療に当たることが多く、弟とは、病院で私が身体の治療をして、弟には法話をしてもらうような病院を作りたいねと夢を語り合っていました。ご縁があって大阪の市立ひらかた病院の病院長に就任することになり、たまたま新病院を建設する時期でもあり、ぜひ緩和ケア病棟を作りたいという私の願いを、多くの方のご協力によって
緩和ケア病棟には臨床宗教師の方に週に一度ですが来ていただき、がん患者さんとお話をしていただいています。私も現在は外科医を引退し、緩和ケア医として日々患者さんと接しています。
治療を断念せざるを得ない状態になった患者さんのこころの悩みは、身体の痛みと共に大きな問題です。特に予後の告知後の接し方は、患者さんの個人差も大きく、何年経験しても困難さを感じます。昔と違って、病名も予後も患者さんにしっかりと伝える時代になってきています。日々の生活の中で常に命の大切さをいかに感じて暮らしてきたかを問われるように思われます。医師としても、僧侶としても告知をするだけでなく、その後のケアも大切にしたいと務めてはいるつもりですが、力不足を感じる毎日です。西本願寺医師の会の皆さまともこれらの共通の課題を一緒に考えていける機会になればうれしいです。