発起人メッセージ
お互いに学びあう場に

佐々木 惠雲 ささき えうん(僧侶)
-大阪-藍野大学学長
明治以来、私たち医師は欧米の思想・文化を背景に持つ西洋医学を土台に医療を行ってきました。しかし超高齢社会を迎え、感染症から生活習慣病へと疾病構造が大きく変化する中で、我が国の医療が大きな転換期を迎えているのではないでしょうか。しかも2030年には、団塊の世代がその死亡のピークを迎える「大量死時代」が訪れようとしています。死を迎える人も死を見送る人も、すべての日本人がしっかりと死と向かい合わなければいけない時代が到来しようとする中で、今までの西洋医学を重視した医療だけで対応することが困難になっていると強く感じます。
このような時代だからこそ、日本人の伝統・文化・思想に深い影響を及ぼしている仏教の出番ではないでしょうか。今回発足いたします「西本願寺 医師の会」では西本願寺にご縁のある先生方と医療と仏教について忌憚のない意見を交わし、お互いに学びあう場にできればと考えております。ご賛同いただける先生方をお待ちしております。
医療と仏教の協力関係を
田畑 正久 たばた まさひさ(門徒)
-大分-佐藤とよかわクリニック院長
超高齢社会を迎え「医療界は国民の老病死にどう対応するか」、が大きな課題になっています。今までの量を追い求める医療から、質を尊重する医療に軌道修正が求められようとしています。今こそ仏教が見直されるべき時ではないでしょうか。生老病死の四苦を共通の課題にする医療と仏教が、日本では協力関係ができてなかったことが不自然であったのではないでしょうか。
すべての人に可能な救い、大乗仏教としての浄土教、無条件の救いを教える念仏の教えが、科学的思考では対応できなかった老病死の質の領域に光を当て、患者・家族、そして医療関係者が『人間として生まれてよかった。生きてきてよかった』という人生を共に歩める道が、医療と仏教の協力によって展開するようになると思われます。
世俗にまみれながら生きる在家の者の救いを見いだされた法然聖人、念仏の教えをさらに深くいただいた親鸞聖人、生老病死の四苦を超える道としての念仏の教えを共に学んでいきませんか。