脳に動脈りゅう 、手術は必要?/お悩みQ&A

脳に動脈りゅう、手術は必要?

先日、脳ドック検診でMRI(磁気共鳴画像装置)による検査を受けたところ、脳に動脈瘤があると言われました。このまま大きくなると「くも膜下出血」の危険性があると、手術を勧められました。私の母も、くも膜下出血で亡くなりました。どのような手術なのでしょうか?不安なのですが、手術は必要でしょうか。

(50代女性)

くも膜下出血予防ため早期手術が効果的です

清元 秀泰〔姫路市長 元東北大学教授 腎高血圧内分泌科〕

 現在、がんや心疾患と並び脳血管疾患は、厚労省の死因分析の3大死因で、脳血管疾患の約3割が、くも膜下出血です。原因のほとんどが脳血管の異常なコブ状の膨らみである「脳動脈瘤」の破裂です。

 くも膜下出血は突然発症し、年間約2万人が亡くなっています。動脈瘤は、破裂すると急激な頭痛(バットで殴られたような激痛)と意識障害に襲われます。重篤な疾患で半数の患者さんは突然に昏睡状態となり死に至るので、MRIによる検査は有用です。脳ドックなどで破裂していない動脈瘤が見つかった場合、5ミリ以上で手術が考慮され、10ミリを超えると、破裂リスクが急激に高くなるので早急の手術にかかります。お母さまも同じ病気とのこと、早期の手術を検討しましょう。

 破裂していない動脈瘤の予防的手術には開頭手術とカテーテル手術があります。開頭して動脈瘤のくびれた部分にクリップを挟み込む手術が一般的ですが、最近は開頭せずに足の付け根から脳血管の中へ細いカテーテルを挿入し、特殊なコイルで動脈瘤の内側に詰まる血管内の動脈塞栓そくせん術が体への負担も少ないため、合併症のある方によく行われます。どちらを行うかは、患者さんの年齢、動脈瘤の場所、大きさや形、合併症の有無などで医師が決定します。
 動脈瘤は大きくなればなるほど破裂しやすく、手術も難しくなります。破裂防止のため、早期の手術こそ効果的です。

(兵庫県姫路市・超正寺門徒)

『本願寺新報』2018年4月1日号掲載