尿漏れは年のせい?/お悩みQ&A

尿漏れは年のせい?

廃品回収の新聞の束や、布団の上げ下ろしなどの重いものを持ったときや、くしゃみ、咳をした時などに、時々ですが尿が漏れてしまいます。もう歳だから仕方ないのでしょうか?何か治療法はあるのでしょうか?

(58歳女性)

まずは骨盤底筋のトレーニングから 

近藤 雅彦〔医療法人近藤クリニック(大阪市)理事長 泌尿器科専門医〕

 ご質問のようにお腹に力が入ったときに起こる尿漏れのことを、専門用語で「 腹圧性 ふくあつせい 尿 失禁 しっきん 」と言います。

 4足歩行する動物は、内臓の重さをお腹周りの筋肉で支えますが、立って歩く人間の場合、内臓を支えるのは骨盤の底にある骨盤 底筋群 ていきんぐん という筋肉です。

 女性の場合、骨盤が大きい傾向があるので内臓が下垂しやすく、そのため骨盤底筋に重さがかかることに加えて出産経験があると、この筋肉のすぐ上にある 膀胱 ぼうこう が下がりやすくなります。

 膀胱が下がってしまうと、尿道と膀胱の角度がなくなり、尿を貯める 括約筋 かつやくきん (バルブの役割をする筋肉)の働きが弱くなってしまうのです。普段は問題なくても、お腹に力が入り腹圧が上がったときに尿が漏れることが多いのはそのためです。年齢的な変化でもありますが、治療することができます。

 治療としてはまずは、骨盤底筋体操という筋肉トレーニングを行います。あおむけになり、オナラを我慢するときのようにお尻の括約筋を締めたり、緩めたりを繰り返し行うことから始めます。効果が出るにはしばらく時間がかかりますので根気よく続けてください。

 体操で効果が不十分な場合は、抗コリン剤などのお薬を服用したり、症状が重い場合には手術によって治療することもできます。

 治療法がありますので、年齢のせいだと諦めないで、かかりつけの先生か、お近くの泌尿器科にご相談ください。

(鳥取県八頭町・光賢寺衆徒)

『本願寺新報』2018年5月1日号掲載