爪の水虫に薬が効かない/お悩みQ&A

爪の水虫に薬が効かない

数年前から足のゆびや裏に水虫があり、市販の水虫薬を塗って治療していました。しかし、半年ぐらい前から足の爪の先が白く濁り、だんだんと厚くなっています。市販の水虫薬を塗りますが治らず、水虫が爪の根元のほうに広がっています。見た目も恥ずかしく、悩んでいます。

(50歳女性)

10人に1人が爪水虫 正しい診断と治療を

江川政昭〔江川皮ふ科クリニック(広島市)院長 皮膚科専門医〕

 その爪は、足の水虫の原因菌である白癬はくせん菌というカビの一種が、爪に感染した爪白癬、いわゆる爪水虫と考えられます。
 爪水虫の症状は、爪の色が白色や黄色に濁り、爪が厚く変形、先のほうからぼろぼろにもろくなるといった症状です。しかし、痛みやかゆみといった自覚症状がないため、見過ごされたり、放置されがちです。治療しないと進行して他の部位や家族などまわりの人にうつす可能性があります。日本人の10人に一人が爪水虫にかかっているといわれています。
 爪水虫の治療は、薬を爪の中、爪の下の皮ふにまで浸透させる必要があるため、市販の外用薬は、爪への浸透力が弱く難治でしょう。
 内服薬と数年前より使えるようになった爪への浸透力の強い外用薬が効きます。
 基本的には、重症の爪水虫には内服薬、副作用等により内服できない人や軽症の爪水虫には外用薬で治療しましょう。どちらも、一旦変色、変形した爪は元に戻らず、正常な爪になるには新しい爪に生え変わる必要があります。爪の成長は遅く、早い人でも半年から1年以上かかり、根気よく続ける必要があります。
 爪の変形や、混濁を生ずる疾患は、爪水虫だけでなく、 乾癬かんせん爪甲鉤弯そうこうこうわん症など他の病気でも生ずることもあります。顕微鏡検査などにより、爪水虫と正しく診断して治療をする必要があります。皮膚科専門医を受診することをお勧めします。 

(広島市東区・覚法寺門徒)

『本願寺新報』2018年6月1日号掲載