寝酒の量が増えて…/お悩みQ&A

寝酒の量が増えて…

4月より部署が異動になりました。仕事の内容や人間関係が変わってしまい、頑張っているのですが思うように上手くいかず大変です。最近、寝付けず寝酒の量も増えています。このままでも大丈夫でしょうか?

(41歳男性)

睡眠の質悪くなり眠りは浅い状態に

西本真証〔センクサス産業医事務所 パートナー医師 ヘルス・アンド・カンパニー代表取締役〕

 お酒は寝入りをよくしてくれる反面、睡眠の質が悪くなり、眠りを浅い状態にしてしまいます。寝るための飲酒(寝酒)をすると、寝ている間に身体が血液中のアルコールを分解して濃度を下げ、それに伴って覚せい作用が生じるためです。
 さらに、夜間にトイレに行く回数も増え、睡眠が妨げられます。睡眠薬の代わりの飲酒が続くと、量を増やさないと寝付けなくなり、アルコール依存や肝障害の心配も出てきます。
 そもそも寝付けないというのは、メンタルヘルス不調の一つの症状です。今回のお悩みでは、仕事内容や人間関係が変わったことがストレスとなり、その対処が追い付かず、メンタルヘルスに変調をきたしていると考えられます。その結果、睡眠障害が現れ、何とかしようとお酒に頼り、飲酒量が増加傾向にあります。
 このまま飲酒量が増え続けると、お酒によって熟睡が妨げられ、メンタルヘルス不調のさらなる悪化、お酒に関連した深刻な病気へとつながる恐れがあり、そのまま放っておくのは大変危険です。
 まずはしっかり休息を取ることを心掛け、心と体を休めることが最優先です。①抑うつ気分②興味または喜びの喪失③疲れやすさ、気力の減退④睡眠障害⑤自責感など、これらのうち1つでも2週間以上続く場合は、メンタルクリニックや心療内科を受診することをお勧めします。もし、勤めている会社に産業医がいる場合は、まずは相談してみてはいかがでしょうか。

(奈良県香芝市・西方寺寺族)

『本願寺新報』2018年6月10日号掲載