歯に金属を詰めて…/お悩みQ&A

歯に金属を詰めて…

歯の治療後に、口の中や手や足の指回りなどに炎症が出るようになりました。後になって金属アレルギーということを知ったのですが、現在、金属の詰め物の部分を交換中です。炎症が少し軽くなったように思います。今後、気をつけなければならないことはありますか。

(75歳女性)

金属アレルギーの治療 主治医のもと根気強く

一石英一郎〔国際医療福祉大学病院(栃木県那須塩原市)予防医学 内科学教授〕

 歯の詰めものなどの歯科用金属が原因で、口腔こうくう(口からのどまでの空洞部分)の粘膜や、身体の皮膚が赤くなったり、発疹ほっしん(吹き出物)がでたり、水疱すいほう(水ぶくれ)などを生じることがあります。
 これらの症状は、ニッケル、コバルト、クロムなどが原因となってあらわれることが多いとされており、金や銀、チタンやジルコニウムは比較的それらが少ないようです。
 保険治療の範囲では、費用の面から合金が歯科用金属として使用されることが多いのが現状です。合金を使用すると、ごくまれではありますが、ウミが溜まった膿疱のうほうと呼ばれる皮疹が手のひら(手掌しゅしょう)や足の裏(足蹠そくしょ)に数多く出てしまう「掌蹠膿疱症しょうせきのうほうしょう」や、皮膚や粘膜にできる角化性で炎症をともなう「扁平へんぺい苔癬たいせん 」が出てしまうことがあります。
 しかし、病気かどうか、簡単に歯科用金属を外すことか否かの判断は、歯科医師や口腔外科医に指導を仰ぐのが賢明でしょう。
 また、歯の詰め物ではなく、食物などにも金属が含まれる場合もあり、それから金属アレルギーを生じるケースもあるので、いずれにしても医師の相談が必要でしょう。
 炎症が強い場合には、医師の処方でステロイド軟こうや、消炎効果のあるうがい液「アズノール」を使用して症状を軽減することができます。
 いずれにしても、症状を完治させるためには、主治医としてかかられている専門医の指導を守り、根気強く治療を続けることが大切です。

 (香川県東かがわ市・三寳寺門徒)

『本願寺新報』2018年9月1日号掲載