ピロリ菌は除去するの?/お悩みQ&A

ピロリ菌は除去するの?

胃の内視鏡検査を受けて、ピロリ菌がいると言われました。除菌した方がいいのでしょうか。その場合の注意点と副作用などが心配なので、教えてください。

 

(62歳男性)

早期胃がんに効果あり かかりつけ医と相談を

永松秀康〔ながまつ内科・小児科クリニック(大分県豊後高田市)院長 消化器内科〕

 内視鏡検査を受けられて、ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)が胃の中にいるということですので、除菌治療の対象になります。
 必ず除菌した方がよいのか、重要なのは内視鏡検査の診断の結果が何かという点です。
 診断結果が、①胃・十二指腸潰瘍かいよう、②早期の胃がん、③MALTマルトリンパ腫(悪性リンパ腫の一種)、④特発性とくはつせい血小板けっしょうばん減少性げんしょうせい紫斑しはん病(血液中の血球のうち、血小板だけが減少する難病)であれば、除菌による治療は効果が高く、特に推奨しています。
 さらに近年、胃がんがピロリ菌の感染による慢性胃炎を背景に発症することが多いため、除菌の対象疾患に「ピロリ菌感染による胃炎」が追加され、除菌対象者が増加しました。そこで、注意すべき点がいくつかあります。まず、除菌治療の初回成功率は70~80%程度と言われており、4、5人に1人は2回目の除菌治療が必要となる点です。
 2点目は、慢性胃炎に対しての除菌治療に成功したとしても、まれに胃がんを発症する場合がある点です。計画的な内視鏡検査など、かかりつけの医師にご相談ください。
 除菌治療によって、胸やけや下痢、薬しんなどの副作用が出現する場合があります。また、ピロリ菌感染者の全員が胃がんを発症するというのは誤解です。

 除菌治療には利点もありますが、注意点もありますので、かかりつけ医と十分にご相談ください。お大事に。

 (大分県豊後高田市・浄周寺副住職)

『本願寺新報』2018年10月10日号掲載