健康診断で胆石 痛みがないが取るべきか?/お悩みQ&A

健康診断で胆石 痛みがないが取るべきか?

健康診断の結果、胆のうに結石(胆石)があるといわれました。胆石になると「身をよじるほど痛い」と聞いているのですが、痛みがないのに手術を受けることを勧められました。詳しく教えてもらえないでしょうか。 

 

(63歳男性)

経過観察を勧めます 胆管内の場合は除去を

旭吉雅秀〔宮崎大学医学部附属病院(宮崎市) 肝胆膵かんたんすい外科 准教授〕

 無症状の胆のう結石は経過観察が推奨されます。ただし、定期的な検査が必要です。
 これまでに炎症を起こした既往があるか、心窩しんか部(みぞおち)の痛みなどがある場合に胆のう結石に対する手術を行いますが、この胆のう摘出術は一般的に腹腔鏡ふくくうきょうで行われます。
 無症状の胆のう結石を経過観察した場合に症状が現れる割合は2~5%と言われており、胆石症の診療ガイドラインでも経過観察が推奨されています。また胆のう内に結石があることで、胆のうがん発症のリスクが高くなるということもありません。
 胆のうの観察には腹部エコー検査が有用で、体に対する侵襲しんしゅうも少ないのですが、大きな結石や胆のう内を充満するような胆石がある場合、胆石の影響で胆のう自体が十分に観察できず、腫瘍しゅよう性病変の評価が困難となる場合もありますので注意が必要です。炎症を起こした場合でも、炎症早期に手術を行うことが推奨されており、そういった対応ができる専門施設での経過観察が望ましいと考えます。
 一方、胆汁の通る胆管内に結石がある場合には積極的な治療が勧められます。これは放置することで重篤化することが多いためです。通常は内視鏡を用いて胆管の出口を切開あるいは拡張し、処置具を用いて結石を除去します。内視鏡での処置はこれまでの開腹手術に比較すると、体への負担が少なくなります。
 いずれにしろ、過度の心配をされる必要はありませんが、消化器の専門医の元で経過観察をされることをお勧めします。

 

 (宮崎県西都市・仙光寺衆徒)

『本願寺新報』2018年12月1日号掲載