膵 臓に水の袋 何もしなくても大丈夫か?/お悩みQ&A
人間ドッグのエコー検査(超音波検査)で膵臓に
(69歳男性)
精密検査を勧めます
旭吉雅秀〔宮崎大学医学部附属病院(宮崎市)
精密検査を受けることをお勧めします。
膵臓の嚢胞は、大きく腫瘍性のものと非腫瘍性のものに分けることができます。膵臓の嚢胞について、以前は「水の袋だからそのままで問題ありません」と説明をされることが多かったように思います。確かにほとんどの場合は心配ないのですが、最近は嚢胞を形成する腫瘍、いわゆる腫瘍性膵嚢胞に注意が必要とされています。膵臓の腫瘍と聞けば悪性腫瘍である「膵がん」を思い浮かべ予後が悪い印象がありますが、この嚢胞性腫瘍は、その形状や形態、悪性を疑う所見がないかなどを評価して治療の必要性を検討します。放置すると通常の膵がんと同じように予後が悪くなりますが、早期に治療することで根治できるため、健診ではこれに注意しています。精密検査では、MRI検査や超音波内視鏡検査(胃カメラの先端にエコーがあるもの)といった非侵襲的なものを行います。
一方、非腫瘍性のものとして、膵炎や腹部打撲などの外傷が原因で膵臓の周囲に液体が貯留することがあります。原因がはっきりしており、症状がない場合にはそのまま様子をみます。発熱や疼痛、腹満感などの症状がある場合には、抗生剤の投与やドレナージ(貯まっている液体を排出させること)が必要となります。
(宮崎県西都市・仙光寺衆徒)
『本願寺新報』2019年2月1日号掲載