はしかが大流行 予防接種をしているのですが?/お悩みQ&A

はしかが大流行 予防接種をしているのですが?

はしかが大流行しています。息子の母子手帳を見ると予防接種を2回受けていることを確認できました。予防接種を受けているから怖がる必要はないのですか。

(38歳女性)

予防接種2回で怖くない感染症

國東信隆〔別府発達医療センター(大分県別府市)小児科 非常勤医〕

 お子さまは2回予防接種を受けているということで、おおむね安心でしょう。
 2014年の大流行を上回るペースで本年、麻疹はしかが流行しています。その感染者の半数以上が予防接種1回以下の成人です。
 小児は2006年より2回接種制度が始まりました。予防接種1回目で95%程度の小児が抗体を獲得できるといわれています。その後、小学校の就学前に2回目をします。これにより麻疹に対する抗体が99%以上獲得できるといわれています。
 しかし予防接種を受けているから〝絶対〟かからないわけではありません。麻疹に対する免疫は持っているけれども不十分な人が麻疹ウイルスに感染した場合、軽症で非典型的な麻疹を発症することがあります。このような場合を「修飾麻疹しゅうしょくましん」と呼んでいます。詳細ははぶきますが、診断がつきにくく、感染力は弱いものの周囲の人への感染源になるので注意が必要です。
 相談の方も含め、20~40代の人は麻疹予防接種1回の世代でありますので、十分な免疫力がついていない可能性があります。
 訪日外国人が急増し、東京五輪の開催も控え、麻疹ウイルスに接触する機会も増えるでしょう。麻疹は予防接種を受けていれば怖くない感染症です。風疹の流行も話題になっていますので、ぜひこの機会に予防接種の状況を確認され、ご家庭の中だけでなくお知り合いにも予防接種(風疹ワクチンを含んだMRワクチン)をお勧め下さい。

 

 (別府市・寶蓮寺住職)

『本願寺新報』2019年3月20日号掲載