夜間の頻尿 対処法はありますか?/お悩みQ&A

夜間の頻尿 対処法はありますか?

同居している72歳の母は最近、夜中に何度もトイレに起きるようになりました。春といってもまだまだ寒く、年も年だから自然なことなのでしょうか。何か大病の前兆ではないかと心配です。対処法はあるのでしょうか。

(39歳男性)

夜間頻尿と言ってもその原因はさまざま

小笠原尚之〔久留米大学病院(福岡県久留米市)泌尿器科専門医 医学博士〕

 夜間頻尿ひんにょうとは夜間、排尿のために1回以上起きなければならない症状で、実際の医療現場では、2回以上になると問題となり、治療の対象になることが多いとされています。
 排尿に関わる症状のうち最も頻度の多いもので、加齢に伴い男女ともにその頻度も増加します。1回以上排尿のために起きる人の割合は50歳代で60%、70歳以上では90%に認められるとされています。
 夜間頻尿は、睡眠の質の悪化や日中の眠気をもたらし、仕事や家事にも影響を及ぼし、さらには、夜間の転倒や骨折を引き起こし、生存率を低下させるという報告もあります。夜間頻尿の原因は、①多尿②膀胱ぼうこう容量の減少③睡眠障害の大きく3つに分けられます。これらには加齢、寒冷刺激以外にも、じん泌尿ひにょう疾患しっかん、糖尿病、心不全、過度の水分摂取、睡眠障害、脳血管障害、高血圧、肥満などさまざまな要因が関連し、それらが複雑に絡み合っていることが多いとされています。
 夜間頻尿への適切な対処をするためには、まず原因を明らかにすることが重要です。その原因に応じた生活習慣の見直し(適切な水分制限、アルコールやカフェイン入り飲み物を避けるなど)、運動療法、原因となった疾患の治療により症状の改善が期待できます。

 高齢であっても、歳のせいと諦めずに、かかりつけの医師や泌尿器科専門医にご相談ください。隠れていた疾患が発見されるきっかけとなるかもしれません。

 

 (島根県大田市・西楽寺衆徒)

『本願寺新報』2019年4月1日号掲載