認知症は予防できますか?/お悩みQ&A

認知症は予防できますか?

私の母も祖母も認知症なので、いつか自分も認知症になるのではないかと不安です。最近は「脳トレパズル」のような本を買って、問題に挑戦していますが、結構難しいので苦痛です。認知症の予防についてテレビなどでもいろいろ話題になりますが、いったいどれをすれば認知症の予防になるのでしょうか?

(59歳女性)

予防法に3つのポイント 無理なく続けるのが大切

瀧本裕〔愛仁会千船病院(大阪市)脳神経内科 主任部長〕

 科学的根拠のある研究結果を踏まえ、認知症の予防法について解説します。
 1、生活習慣病を予防・治療する=アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症は、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、喫煙など生活習慣から引き起こされる病気との関連が強いです。つまり、これらの予防や治療は、間接的に認知症予防となります。すでに生活習慣病があれば、医療機関で適切な治療を受け、そうでない場合は定期健診を受けるなど、生活習慣病の予防に励むことが大切です。
 2、運動する=ある研究では、有酸素運動を1日30分、週3回のペースで継続したところ、半年から1年で「脳の海馬かいば(記憶の中枢)の容積が増えた」「脳の血流が増えた」という報告があります。腰や関節に痛みや動きの制限があると生活の幅が狭まり、認知機能が急激に悪化することもあります。運動習慣を身につけ、きちんと栄養を摂って体のメンテナンスをしましょう。
 3、他人と交流する=人間は社会的動物といわれます。他人との会話・交流が脳を刺激し、認知症予防につながります。ご家族や仲間と会話・交流し、他人と共同作業を行うなどの工夫が大切です。
 認知症予防で一番大切なのは、ご本人が「無理なく続けられること」です。効果がある予防法でも、ご本人が苦痛に感じるのであれば、長く続けることは困難です。
 将棋や散歩など、ご本人の趣味があれば、それを続けられる環境を整えることが認知症予防になります。内容にこだわらず、楽しみながらできる予防法を選びましょう。

 

 (兵庫県西宮市・光明寺門徒)

『本願寺新報』2019年4月10日号掲載