健診の血液検査で脂質異常を指摘されました/お悩みQ&A

健診の血液検査で脂質異常を指摘されました

職場の健診の血液検査で脂質異常を指摘されました。「脂質の数値が高いので医療機関を受診してください」との通知がきたので相談します。どうすればよいでしょうか。

(60代男性)

重篤な病気の予備軍 生活改善しましょう

田畑正久〔佐藤第二病院(大分県宇佐市)院長 外科・緩和ケア・老人科〕

 血液中の脂質異常、高血圧、高血糖などがあると、加齢とともに動脈硬化が進み、日本人の死因で多い急性心筋梗塞こうそくや脳卒中などの血管性病変を発症するリスクが高まります。
 こうした重篤な病気の予備軍を早期段階で発見・治療したり、予防したりするために設定されている病名がメタボリックシンドロームです。これは運動不足や食べ過ぎなどの生活習慣がもととなって起こります。適切な治療介入を行うことで、5年後、10年後の発症を予防しようとしているのです。
 自分自身の日常生活、運動習慣、食生活を見直して(保健師などから指導を受ける)健康によい方向の行動を起こすことが大事です。基本的には規則正しい日常生活と食生活、そして十分な睡眠時間の確保です。現在は健康に関する情報があふれていますので参考にしてください。
 ただし、安易にサプリメントを摂取したり、ルームランナーなどの機械を使うのでなく、単純な歩行(散歩)や食生活の改善で長続きする方法や工夫が大切です。どうしても生活習慣、食生活の改善ができない時は、次の段階として薬物療法となります。

 健康で長生きを目指して努力することも大切ですが、仏教の立場からは、健康な生活を目指しながらも、何のための健康か、長生きかを考えることも充実した人生のためには大事です、と教えてくれています。 

 

 (宇佐市・圓徳寺門徒)

『本願寺新報』2019年5月1日号掲載