5年くらい前から1日を通して眠気があり、10分ぐらいの居眠りをすることが多くなってきました。仕事の能率もおち、朝になると憂鬱で仕事にも行きたくなくなります。休日でも趣味を楽しめなくなりました。先日は仕事の申し送りをしている最中にもかかわらず、居眠りをしてしまい、心配です。
(48歳男性)
井口博登〔神経科浜松病院(静岡県浜松市)精神科 医局長〕
朝の憂鬱さ、休日でも趣味を楽しめなくなる喜びの感情の低下、仕事の能率がさがっていく注意・集中力の低下などがあり、仕事で疲弊してきた結果としての「抑うつ状態」がまず考えられます。
しかし、能率の低下といっても、仕事や人間関係を思い悩んで、というよりも、眠気がひどく集中できなくなってきた、という経過のようです。申し送りで、おそらく横に相手がいるのにもかかわらず寝てしまうくらいの耐え難い眠気であれば、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみる必要があります。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸障害が起きることで、眠りが浅くなって
細切れに分断されてしまい、昼間に強い眠気がみられるようになる病気です。この時の眠気は、短時間の居眠りでは解消できず居眠りが頻繁になり、時々ニュースにもなりますが、さまざまな事故の原因にもなります。一般的には、睡眠中にいびきが目立つ閉塞型が問題となります。いびきは、肥満体型によるものが多いのですが、アジア人の顔面骨格では、肥満がなくても上気道が狭くなりやすいといわれ、いびきが大きい場合は注意が必要です。また、単身生活ですと、いびきは自覚できないので、病状が進行するまで気づかない可能性があります。うつ病や認知症などと合併したり、高血圧や糖尿病の発症にもつながることもあり、見逃せない、隠れた病気です。現在は、呼吸器内科や耳鼻科に受診すると、簡単な検査を受けることができます。
(静岡市・教覚寺門徒)
『本願寺新報』2019年6月1日号掲載