歯周病と肺の病気、関係ある?/お悩みQ&A

歯周病と肺の病気、関係ある?

歯周病が進むと、肺に炎症ができて呼吸がしづらくなる慢性閉塞へいそく性肺疾患(COPD)になるリスクが高くなるというニュースを見ました。肺疾患は喫煙者がかかる「タバコ病」のイメージが強いのですが、タバコを吸わなくても、歯周病の細菌が肺に影響を及ぼすことなど実際にあるのでしょうか。

(43歳男性)

直接の因果関係は… 歯の健康は長寿の秘訣

鈴木仙太朗〔滋賀医科大学(大津市)社会医学講座公衆衛生学部門 客員助教〕

 ご質問の内容は基本的にはその通りだと思います。
 COPDはタバコが最大の原因ですし、近年、歯周病とCOPDや糖尿病、腎臓病などと関係があるとの統計学的な報告が相次いでいます。ですので、歯周病とCOPDは何らかの関係はあると思われます。ただ、その関係が因果関係かどうかは慎重に考える必要がありそうです。
 歯周病がある人は健康管理ができていない人で、健康管理ができていない人がタバコを吸ってCOPDになりやすいのかもしれません。すなわち、歯周病が直接COPDの原因になっているのではなく、第三者的に間接的に関わっているだけと考えることもできます。一方で、歯周病は感染症ですので、免疫系に影響を及ぼし、全身に悪影響をもたらしているとも考えることもできます。ですので、関係はありそうですが、因果関係かどうかはわからないと考えています。
 江戸時代、養生記ようじょうきのほとんどが食べることについて書かれています。60歳で、70歳で何を食べたかなどです。このことは歯科医療が十分でなかった時代に年を取っても食べることができた、歯が丈夫であったと言うことだと思います。すなわち、長寿の秘訣は歯の健康を保つことであったと考えられます。
 人間に限らず、どの生き物にも無駄なものはなく、体はとても精緻せいちにできています。体を大事にして、歯周病や虫歯が無くてもかかりつけの歯医者さんに定期的に見てもらって、COPDの原因になるタバコはできるだけ吸わないようにしたいものです。


 (滋賀県野洲市・顯了寺門徒)

『本願寺新報』2019年10月1日号掲載