30代でも認知症になると聞いたが予防は?/お悩みQ&A

30代でも認知症になると聞いたが予防は?

新聞で30代でも認知症にかかってしまうという記事がありましたが、かかってしまう原因はあるのでしょうか。また、どのような症状があらわれるのでしょうか。予防のために行っておくといいことも教えてください。

(32歳男性)

若年性は脳血管性が多い 過度の飲酒、喫煙は危険

瀧本裕〔愛仁会千船病院(大阪市)脳神経内科 主任部長〕

 65歳以上の高齢者の場合、認知症で最も多いのが「アルツハイマー型」なのですが、若年性の場合はアルツハイマー型よりも「脳血管性認知症」の方が多いというのが特徴です。
 脳血管性認知症は、脳梗塞こうそくやくも膜下出血の後遺症として現れる認知症であるため、働き盛りの世代で多く見られます。
 代表的な症状としては、
 ①もの忘れや仕事上の失敗が目立つようになる
 ②話をすることが減り、元気がないように見える
 ③ごまかしやうそを平気でつくようになった
 ④会話が合わず、適当に話を合わせるようになった
 ⑤趣味や関心ごとに興味を持たなくなった
というものが挙げられます。
 過度の飲酒や喫煙は血流に影響を与えるため、脳血管にもダメージが及びます。その結果、脳梗塞や動脈硬化になるリスク(危険度)も高まります。
 また、高血圧や糖尿病は脳血管性認知症だけでなく、アルツハイマー型の危険因子でもあるという研究結果もありますので、血圧と血糖が上昇しないよう平素から健康管理をしておくことが大事です。

 近年、遺伝医学の進歩により、認知症は遺伝要因も少なからずあるとされています。遺伝の場合、個人の努力で防ぐことはできませんが、それでも認知症に関心を持ち、日頃から健康的な生活を心がけることによって、認知症の発症のリスクは抑えられると考えられます。

 

 (兵庫県西宮市・光明寺門徒)

『本願寺新報』2019年11月10日号掲載