「家で最期を迎えたい」 父の願い叶えたいが?/お悩みQ&A

「家で最期を迎えたい」 父の願い叶えたいが?

75歳の父ががんの末期を宣告されました。「家で最期を迎えたい」と言っているのでが、家で最期を迎えることなどできるのでしょうか。

(50歳男性)

病院の相談窓口で「家で」意思表示を

田畑正久〔佐藤第二病院(大分県宇佐市)院長 外科・緩和ケア・老人科〕

 家族や縁のある人のがん末期の在宅での看取りが可能になるためには、次の3つの条件が備わる必要があります。①家庭での介護力(訪問看護やヘルパーさんの制度などをどれくらい利用できるかということを含めて)②訪問看護と同時にがん患者の訪問診療をしてくれる医師がいるかどうか③自宅での対応が難しくなった時、入院治療を受けてくれる病院との連携が取れることものぞましいです。
 医師で僧侶でもある小笠原文雄氏は、「地域の医師、看護師、介護サービスや、ご近所さんやボランティアの力などを組み合わせれば、一人暮らしの人でも、自宅で最期を迎えることは可能です」と言われています。
 病院には、退院後の医療をアレンジする地域連携室などの相談窓口があります。宣告を受けた病院で、「家で最期を迎えたい」と意思表示して相談してみてください。
 また各地域には住み慣れた地域で過ごせるよう、介護・福祉・保健・医療などさまざまな面から支援するために、市町村が主体となって設置している「地域包括支援センター」が相談にのってくれます。
 仏教的な視点で考えると、当事者が「最期を穏やかに迎える」ことができるためには、お念仏の心に触れ、関係者に①おまかせする、ということと②仏さま(阿弥陀如来)がいらっしゃる、ということの受け止めが大切です。同時に関係者は、当事者のお世話をしながら、「人間とは」「人生とは」を教えてくれる"菩薩さま〟との受け止めが願われます。

 

 (宇佐市・圓徳寺門徒)

『本願寺新報』2020年1月10日号掲載