「水素水は効く」 医学的な根拠あるの?/お悩みQ&A
「水素水は効く」 医学的な根拠あるの?
「水素水」というものが人体にいい、時には「がんに効く」とまで言われていますが、医学的な根拠はあるのでしょうか。
(50歳男性)
経口からの摂取ではがん細胞に効かない
後藤章暢〔兵庫医科大学(兵庫県西宮市)教授〕
「水素水」と言った場合、水素ラジカルや水素化物イオンが溶存しているとされる「活性水素水」と、水素分子(H2)を溶かし込んだ「水素分子水」に大別され、前者は科学的根拠が乏しく、過去に社会問題となっています。
そこで「水素水」は活性水素水を除外した水素分子水として話をします。
水素を体内に入れると、すぐに有害な活性酸素と結合して、それを中和還元します。つまり、体内の悪玉活性酸素を効果的にすばやく消去してくれます。水素のこの作用は、他の抗酸化物質にはない特性です。
水素のほかの効果としては、抗酸化作用や抗炎症作用、抗アレルギー作用、脂質代謝改善作用などがあります。体での働きや有効性は幅広く、美白や肌荒れ改善、疲労回復、アレルギー疾患、認知症など、多くの疾患に効果があるとされています。基礎的な私たちの検討では、がん細胞に対しては高濃度の水素は効果が認められましたが、水素水の経口摂取ではとうてい必要量の摂取は不可能な条件でした。
がんに対しては、いかにその部位に高濃度の水素を到達させるかが効果に比例します。水素水はがんに対して直接的な効果はあまり期待できませんが、安全性が高い水素の生体への影響を考慮すれば、間接的な効果はあるものと期待され、活用されています。
その他の方法として、直接水素を吸入する、水素浴、水素タブレットなどいろいろな取り組みがなされています。
(神戸市東灘区・西林寺門徒)
『本願寺新報』2020年3月10日号掲載