「コロナうつ」?/お悩みQ&A

「コロナうつ」?

経験したことのない自宅での自粛生活から一転し、6月から会社に通勤しています。まだまだ元通りとはいかず、通勤途中、混み合う電車の中で心臓の拍動を強く感じたり、夜なかなか寝ることができなかったりします。新聞で「コロナうつ」とか書いていますが、うつ病の症状なのでしょうか。

(37歳男性)

生活に支障あれば受診をしてみては

伊藤 高〔メディカルカウンセリングルームいとうクリニック(高知市)院長 精神科〕

 今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、緊急事態宣言が政府から出され、ステイホーム(自宅待機)を強いられる状況が続きました。
 テレワーク(在宅勤務)の導入や自宅待機などで、自宅にこもる日々が続いた方も多かったでしょう。外出しないことで、運動不足や太陽光線を浴びない生活が続き、生活リズムが乱れがちとなります。また、テレビでは一日中新型コロナに関する情報が流され、我々の不安を一層高める状況でもありました。緊急事態宣言下で、あるいは宣言解除後に生じたさまざまな変化が私たちのメンタルに影響して、コロナうつをはじめとするさまざまな精神疾患を生じる要因になっています。
 コロナ禍も少し落ち着きだして、ステイホームから通常の生活に戻りつつある中で、混雑した電車での通勤、コロナがうつるのでは?と、心配になりますよね。人は不安になると、自律神経の一つである交感神経が興奮しやすくなり、 動悸どうきや息苦しさなど、運動した後のような身体の反応が出やすくなります。また、前夜眠れていないと余計にそのような反応が起こりやすいのです。一方、このような症状がうつ病の前触れの可能性もあります。
 気分がゆううつで、考えがネガティブな方向に傾く、何事に対しても関心や興味がわかないなどのうつに特徴的な症状があれば、要注意です。仕事や社会生活に支障をきたすようでしたら、一度、心療内科や精神科の門をたたいてみてはいかがでしょうか。

 (大阪府箕面市・教学寺門徒)

『本願寺新報』2020年7月1日号掲載