すぐ排尿することができない/お悩みQ&A

すぐ排尿することができない

最近、尿意がありトイレに行くのですが、すぐ排尿することができません。また残尿感を感じるようになりました。叔父が前立腺がんで亡くなっており、新聞で前立腺がんは遺伝するという記事を読んだのですが、病院に行ったほうがいいのでしょうか。

(50歳男性)

前立腺肥大の可能性 治療は早めの受診を

木下徳雄 〔泌尿器科いまりクリニック(佐賀県伊万里市)副院長〕

 症状から前立腺肥大症の可能性が高いと思われます。前立腺は男性ホルモンの影響を受けます。そのため、男性ホルモンの働きが衰え始める40代後半から前立腺が大きくなり始め、加齢とともに大きくなります。肥大の程度は個人差があります。このほか、肥満・高血圧・脂質異常・メタボリック症候群などとの関連が明らかになりつつあります。 
 前立腺肥大症になると、尿道を圧迫しいろいろな排尿症状が起こります。排尿困難、尿閉、頻尿(特に夜間頻尿)、尿意切迫感、残尿感や尿失禁などです。検査は、超音波検査や直腸診で前立腺の状態を調べます。前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA値は前立腺肥大症でも高くなることがあります。
 治療は薬物療法と手術があります。通常は、まず薬物療法を行います。効果が不十分の時は手術をしますが、最近、手術件数は減少傾向です。薬物療法には、前立腺や膀胱の一部の筋肉を緩める交感神経α1受容体拮抗薬や、男性ホルモンの働きを抑える5α還元酵素阻害薬などがあります。血流を改善する薬も一般的になっています。手術は経尿道的前立腺切除術が標準的な方法ですが、ほかの経尿道的手術も開発されています。

 遺伝は不明ですが、家族(とくに父または兄弟)に前立腺がんの方がいる場合は、前立腺がんになる確率が2~5倍高くなるといわれています。家族が50歳くらいの若い時期での前立腺がん発症は、注意が必要です。泌尿器科受診をお勧めします。

 (福岡県みやま市・光徳寺寺族)

『本願寺新報』2020年7月20日号掲載