小さい頃のてんかんが心配/お悩みQ&A

小さい頃のてんかんが心配

31歳の女優さんがてんかんで亡くなりショックを受けました。実は、4歳の時にてんかんの発作ほっさを発症し14歳まで通院しました。その時、「もう大丈夫」と医師から言われたのですが、念のため脳波検診を受けた方がいいでしょうか。

(44歳男性)

思春期に断薬したなら基本的に再検査は不要

瀧本たきもと ゆたか〔愛仁会尼崎だいもつ病院(兵庫県)総合診療科 副院長〕

 てんかんに対して薬物治療を開始した場合、発作が長期間消失する可能性は約60~70%とされています。つまり半数以上の患者さんは、内服薬での治療により発作は抑制されます。では、この治療をいつまで続けるべきか?という問題についての明確な答えはなく、時と場合によります。

 しかし、少なくとも小児期からのてんかんにおいては、発作のタイプによっては内服終了が容易な場合があり、年齢や状況に応じて減薬や中止を検討します。小児期からのてんかんには、年齢を重ねるごとに発作が(思春期頃には)消失していくタイプがありますが、成人期からのてんかんには年齢依存性の要素が基本的にはありません。ですから、ある年齢になったので薬を止めましょう、という提案は小児ではあっても成人には当てはまりません。

 抗てんかん薬の内服を中断した場合の発作の再発率については、約10~60%とされており、特に中止後1年以内の発作再発率は約25%とされています。成人だけでの検証においては、2年間発作が内服で抑制されていた患者さんが断薬した場合、その再発率は15%と報告されています。

 さて、ご質問の方は小児期発症のてんかんであり、思春期に断薬が可能と判断されたタイプと推察されますので、体調に大きな問題がなければ基本的には再検査は不要と思われます。しかし、ご心配であれば一度、専門医の受診をお勧めします。

『本願寺新報』2020年10月01日号掲載