温泉は体にいいの?/お悩みQ&A

温泉は体にいいの?

だんだんと寒くなり温泉に行きたい気候になりました。「温泉は体にいい」といいますが、医学的な根拠があるのですか。また、どのように温泉に入浴すれば身体にいいのかアドバイスをください。

(55歳男性)

臨床試験で効果明らか 入浴するのは「食前」に

一石 英一郎 〔国際医療福祉大学病院(栃木県那須塩原市)教授 消化器内科副部長 予防医学センター〕

 これまで温泉は、ぼんやりと「体にいい」と言われていましたが、ここ最近、臨床試験などによって「健康寿命を延ばし、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を向上させてくれる」という効果を医学として明らかにする動きがあり、私も一昨年に『医者が教える最強の温泉習慣』(扶桑社)を出版しています。
 調べれば調べるほど、温泉には健康効果があったのです。そして、日本が「世界一の温泉大国」であることもわかりました。日本国土にある源泉の数は約2万7000。そのうち宿泊施設を有する温泉地は3000を超えており、2位のイタリアが200カ所ですから、日本が群を抜いていることがわかります。
 温泉の効能について代表的なのが「体温上昇」「ミネラル吸収」「ストレス解消」です。これらの効能が相まって、心身にため込んだ健康を阻害するさまざまな〝毒"を効果的に抜くことができます。

 では、どのように温泉に入浴するのがいいのかというと、まず入浴は「食前」に。そして入浴前には「かけ湯」を手足から少しずつ行いましょう。また安全な温浴のためには浸かる時間が大切で、温泉ごとに適切な入浴時間は異なります。なので拙著では、さまざまな泉質を体質や効能に合わせて温泉を選び楽しむ「オーダーメイド入浴法」を勧めています。歴史をみれば「湯治」という文化がありましたが、戦後この文化が急速に廃れてしまっているのは、とても残念に思います。この冬は密を避けぜひ秘湯に。

 (香川県東かがわ市・三寳寺門徒)

『本願寺新報』2020年10月10日号掲載