インフルエンザの予防接種 コロナの今年も必要なのか?/お悩みQ&A

インフルエンザの予防接種 コロナの今年も必要なのか?

かかりつけ医からインフルエンザの予防接種の案内が届きました。今年は新型コロナウイルスで外出するときはマスク、至る所で手指消毒を行っているので、予防接種はしなくていいと思っていますが間違いでしょうか。

(35歳男性)

症状悪化を防ぐため接種をお勧めします

澤田知宏〔沢田内科医院(熊本市)院長 総合内科・血液内科〕

 結論から言えば、インフルエンザワクチンの予防接種は、マスクなどの予防をしていても受けることをお勧めします。
 それは現在、新型コロナウイルス感染症(COVIDコビット–19)の世界的流行(パンデミック)が進行中ですが、オーストラリアでは、9月までの季節性インフルエンザ感染者数は前年の7・3%にとどまりました。インフルエンザ感染者の減少は南半球の他の国々でも見られました。マスク着用、手洗い、ソーシャル・ディスタンス、あるいはロックダウン(都市封鎖)などのコロナ対策が、インフルエンザ感染予防にも有効であったと思われます。そして私たちが住む北半球でも、これからインフルエンザの流行期を迎えて同様の現象が起こる可能性があります。
 しかしながら、インフルエンザワクチンの本来の目的は重症化の阻止であり、限りなく症状を軽減し、肺炎や脳炎などの合併症を起こさせないことです。したがって、高齢者、小児、妊婦、なんらかの疾患に罹患りかんしている人には優先的にワクチンの接種が勧められています。また、集団免疫の拡大を促進し、流行を阻止する効果があります。オーストラリアでも今年は昨年よりはるかに多くのワクチンが接種されました。

 新型コロナウイルスの流行が終息していない現況では、健康な若い人であってもインフルエンザウイルスに感染した時に症状を悪化させず、また集団免疫によって流行を抑えるためにもインフルエンザワクチンは接種しておくことが望まれます。 

 

 (熊本市中央区・廣德寺門徒)

『本願寺新報』2020年11月1日号掲載