子宮けいがんワクチン 接種すべきか?/お悩みQ&A

子宮けいがんワクチン 接種すべきか?

子宮頸がんワクチンによる深刻な副作用に悩む人もいるというニュースをみて、ワクチンを長女(16歳)に接種すべきか悩んでいます。

(44歳男性)

頸がんは予防できる 近くの病院で相談を

永松ながまつ 秀康ひでやす〔ながまつ内科・小児科クリニック(大分県豊後高田市)院長 消化器内科〕

 2010年に「子宮頸がんはヒトパピローマウイルス感染が原因である」ということを突き止めたドイツ人の医師がノーベル医学生理学賞を受賞しました。
 日本では2013年に子宮頸がんワクチンが定期接種化されましたが、接種部位の痛みや腫れだけではなく、失神などの全身的な症状が問題となり、国が接種勧奨を差し控えてしまいました。しかし、ワクチン接種と多様な症状の因果関係は証明されていません。各国のワクチン接種率と比較しますと、イギリスは80%以上、オーストラリアは70%以上ですが、日本は1%未満しかありません。
 子宮頸がんは年間で約1万人が発症し、3千人が亡くなっています。問題は、20~30代の若い年代の女性の発症が増加していることです。ワクチン接種を受ければ、頸がんの発症を90%抑えられるといわれています。頸がんワクチンは小学校6年生から高校1年生までの女子では定期接種対象ですので、無料で受けられます。自費で接種する場合は、約5万円かかります。ワクチン接種による副反応が生じた場合にも、国の予防接種法に基づく救済処置を受けることができます。
 最後に、子宮頸がんはワクチンで予防できる病気です。発症すれば、子宮切除を余儀なくされ、出産の機会を失うことにつながります。ぜひ、お近くの医療機関にご相談されて、ワクチン接種をお受けください。

 

『本願寺新報』2020年11月20日号掲載