新型コロナウイルスワクチンの安全性は?/お悩みQ&A

新型コロナウイルスワクチンの安全性は?

米ファイザー社のワクチンが9 5 %有効と発表されていますが、本当に安全なのでしょうか、教えてください。

(45歳男性)

深刻な副作用の報告ないが数名に激しいショック症状

上野富雄〔川崎医科大学(岡山県倉敷市)主任教授 消化器外科〕

 このワクチンはRNAワクチンという新しいタイプのものです。米国やブラジルなどで国際的に効果や有効性を調べる臨床試験を行い、有効性が95%だったと発表して大きな話題になりました。
 有効性95%とは、ワクチンを接種すればプラセボ(せ薬)と比べて発症するリスクが95%下がることを示しています。臨床試験では、参加した約4万4000人を半分に分けて、片方のグループにはワクチン、もう片方にはプラセボを接種し、経過を観察しました。ワクチンを接種し発症したのは8人、プラセボでは162人でした。臨床試験では深刻な副作用は報告されていません。ただ試験の参加者の中には倦怠感けんたいかんや頭痛を訴えた人がいました。
 このワクチンは英国、カナダに引き続き、米国でも承認され接種が開始されています。これまで、過去に強いアレルギー反応を起こした経験のある人、数名に激しいショック症状(血圧の急激な低下)を伴うアナフィラキシー(類似超過敏反応)のような反応が見られたと報道されています。

 ただ、アナフィラキシーといわれる反応は、今回のワクチンだから起こる、という訳ではなく、インフルエンザワクチンでも報告があります。さらに副作用は接種直後だけでなく、長期的に影響が出ることもあり得るので、安全に関しては絶対安心とは言い切れません。そうした危険性と予防効果を考えて打つかどうかを個人でも判断する必要があります。

 

 (大分県中津市・成満寺門徒)

『本願寺新報』2021年1月10日号掲載