糖尿病や高血圧症の患者は新型コロナになると致死率高い?/お悩みQ&A

糖尿病や高血圧症の患者は新型コロナになると致死率高い?

糖尿病や高血圧症の患者が新型コロナウイルス(COVID- 1 9 )に罹患すると死亡する確率が高くなると聞きます。糖尿病を患っているので気になるのですが、医学的に確かなことなのでしょうか。

(56歳男性)

血糖値が高い状態続くと白血球の機能が低下する

瀧本裕〔愛仁会千船病院(大阪市)脳神経内科 主任部長〕

 最新のある報告では、新型コロナウイルス(COVID ‐19)に罹患りかんした方の年齢中央値は56歳(22~92歳)で、全症例の46・4%が高血圧、糖尿病、心疾患などの合併症を一つ以上有することがわかりました。
 集中治療室での対応を要した重症例でも、「基礎疾患あり」が7割以上を占めています。その中でも特に糖尿病の方が重症化しやすい理由として、血糖値が高い状態が続くと白血球の機能が低下することが挙げられます。
 白血球は、ウイルスなどの病原体が体内に侵入してきた際に、それらを攻撃し抗体を作って身体から排除するように働きます。この白血球の機能が高血糖によって低下すると、免疫力が低下し、さまざまな感染症にかかりやすくなると考えられています。また、糖尿病性神経障害があると、痛みや発熱を感じにくいため感染が重症化しやすいと言われています。
 さらに、糖尿病では全身の細い血管が障害されることが多く、そのため感染した部位に酸素や栄養が十分に供給されなかったり、白血球が届きにくかったりするため感染症が悪化しやすいと考えられています。
 引き続き、手洗いや手指消毒、マスク着用を行うこと、さらに人との接触を減らす、3つの密を避けるなどの感染予防対策をしっかりと行いましょう。
 そして、高齢者や基礎疾患をもつ人は重症化する可能性が高くなるため、発熱・せき・呼吸困難などの症状があれば早急に医師の診察を受けるようにしましょう。

 

 (兵庫県西宮市・光明寺門徒)

『本願寺新報』2021年2月1日号掲載