大腸憩室炎の予防策教えて/お悩みQ&A

大腸憩室炎の予防策教えて

大腸憩室けいしつ炎を2度もわずらいました。顧客のお宅を訪問する営業職をしており、ストレスを感じているから病気になってしまうのだと思っています。仕事を辞めることはできないのですが、3度目の発症を予防するために気をつけなければならないことを教えてください。

(38歳女性)

肥満や喫煙は危険因子 生活習慣の見直し必要

永松ながまつ 秀康ひでやす〔ながまつ内科・小児科クリニック(大分県)院長 消化器内科〕

 大腸憩室とは、大腸内の腸管ちょうかん内圧ないあつが上昇することにより、大腸の一部が袋状に腸管外に突出した状態です。
 後天性がほとんどで、高齢の方によく見られます。近年食生活の欧米化により、大腸憩室保有者が増加しています。この憩室に炎症が起きた状態が、憩室炎です。
 大腸憩室症の4%に憩室炎が発症するとされ、好発年齢は40~60代です。主症状は、下腹部痛で、発熱を伴うこともあります。憩室炎に1度かかると、約30%は再発するとされています。多くは禁食、抗生物質投与などで軽快しますが、憩室の 穿孔せんこう(穴があくこと)や膿瘍のうよう(膿がたまること)、狭窄きょうさく(腸が細くなること)、瘻孔ろうこう(腸が他の臓器と交通する異常な穴のこと)などを合併したときは、外科的治療が必要な場合があります。
 憩室炎の危険因子は肥満や喫煙です。また、ストレスによる交感神経興奮が体内の炎症を起こしやすくするともいわれており、適度な運動と十分な睡眠を心がけてください。
 食事は、穀物や豆類、野菜を積極的に摂取するようにしましょう。以上の食物繊維が豊富な食事は、腸管内圧を下げ、腸管への負担が軽減します。
 よって、今回のご質問の女性の方も日頃の生活習慣の見直しが必要でしょう。最後に、憩室炎が治癒して2~3か月後には、大腸内視鏡検査を受けるようにしてください。憩室炎以外に大腸がんによる腹痛の可能性もありますので、注意が必要です。

『本願寺新報』2021年4月1日号掲載