新型コロナ変異株とは?/お悩みQ&A

新型コロナ変異株とは?

新型コロナウイルスの変異株でお亡くなりになったというニュースを見ました。変異株とは、どのようなものなのでしょうか。変異を続ければ、薬を作ることは不可能なのでしょうか。

(45歳男性)

変異株にも手洗い マスク、三密の回避

一石英一郎〔国際医療福祉大学病院(栃木県那須塩原市)教授 消化器内科副部長 予防医学センター〕

 変異株とは、ウイルスの設計図の遺伝子が変化した株のことです。ウイルスは自らの力で増えることができないため、ヒトの細胞の中に入り込み自らを複製(コピー)して増殖します。この遺伝情報をコピーする際にミスがあると変異が起きます。つまり自らの設計図のコピーミスによって変異株が生まれるのです。
 英国変異株において死亡リスクが1・64倍という報告がありますが、結論から言えば、変異株については今のところは過度の心配は不要です。
 なぜ変異株が心配ないと言えるのかというと、ワクチンの面からは、日本で導入される予定の遺伝子ワクチン(mRNA ワクチン)などは、変異が起こっても数週間で新しい変異バージョンの遺伝子ワクチンに作り直すことが技術的に可能だからです。
 また開発が進められている抗体薬の面からいえば、抗体薬とはウイルスを退治するミサイルのようなものなのですが、変異によって標的がわからなくなっても、すぐに標的を確認できる技術が目まぐるしく進歩しているので、変異株にどのような薬が効くのかを予測することが可能になりつつあります。つまり、変異ウイルスに対し「対応が可能」という状況が目の前にあるからです。

 変異株の感染力が強まったり重症化の心配があるとしても、基本的には現在の感染対策をしっかり行うことが最も重要で、手洗いやマスク着用、三密を避けるなどを徹底すれば、過度に恐れることはないのです。

 

 (香川県東かがわ市・三寳寺門徒)

『本願寺新報』2021年4月10日号掲載