mRNAワクチンって何?/お悩みQ&A

mRNAワクチンって何?

新型コロナウイルスのワクチンは、これまでの経験のあるインフルエンザワクチンと違うタイプのワクチンと聞きました。mRNA (メッセンジャーRNA) ワクチンと言うそうですが、どのようなワクチンか教えてもらえますか。

(50歳男性)

ウイルスとヒトとの細胞の〝握手〟防ぐ遺伝子ワクチン

一石英一郎〔国際医療福祉大学病院(栃木県那須塩原市)教授 消化器内科副部長 予防医学センター〕

 mRNA ワクチンは遺伝子ワクチンとも呼ばれ、これまでの接種した経験のあるインフルエンザワクチンと違うタイプ、初登場のものです。
 このワクチンはmRNA という設計図が組み込まれている、ウイルスの重要な情報が含まれています。つまりウイルスの表面にあって、ヒトの細胞に感染する時に〝これが無いと感染できない〟という「スパイクタンパク質」の重要情報が含まれています。感染する時にウイルスとヒトの細胞とが〝握手する〟手のようなものです。
 ワクチンにはウイルスは含まれず、握手する〝手〟の設計図のみが書き込まれていて、接種により〝手〟の部分だけが作られます。つまりワクチンを接種すると感染は起こらない状態になるのです。
 このウイルスを認識して攻撃するよう、免疫力が細胞レベルで醸成される過程で、注射箇所の痛みや筋肉痛、関節痛、倦怠けんたい感などの軽い副反応が起こることがあるのです。
 私はすでに2回の接種を受けましたが、翌日に筋肉痛が起きた程度で、他の副反応は今のところ何もありません。
 有効性は90%以上と報告され、またアナフィラキシーのような副反応は数万人に1人程度、重篤な副反応は引き起こしにくいとされています。
 〝長所が短所を上回る〟といいますか、未接種による重症化や死亡リスクを考えれば接種する方がいいでしょう。国民の半数以上が接種を終えたイスラエルやイギリスでは、過去の感染爆発の状態から比べると5%以下の感染状況(5月時点)に抑え込まれています。

 

 (香川県東かがわ市・三寳寺門徒)

『本願寺新報』2021年5月20日号掲載