更年期じゃないの?/お悩みQ&A

更年期じゃないの?

最近、月経が不順になり、それとともにほてりがでたり発作的に汗が出たりします。気分がふさぎがちにもなったり、眠りが浅かったりもします。友人に聞くと更年期じゃないの?と言われ、心配です。

(50歳女性)

更年期障害の症状あれば産婦人科での受診治療を

内田 克彦うちだ かつひこ〔内田産婦人科医院(福岡県)院長 産婦人科〕

 閉経前後は女性ホルモンの急激な低下で心身にさまざまな症状が出ます。症状が重く日常生活に支障が出る場合を更年期障害と呼びます。

 症状は、顔がほてる、汗をかきやすい、手足が冷えやすい、動悸息切れがする、寝つきが悪い、眠りが浅い、イライラする、くよくよする、頭痛、めまい、疲れやすい、肩こり、腰痛など、実に多岐にわたります。

 診断は、簡略更年期指数(SMI)を用いたり、卵胞刺激らんほうしげきホルモン(FSH)、エストロゲンホルモンの値などで診断します。素人診断をして誤った治療はかえって遠回りです。

 治療は漢方薬として、当帰芍薬散とうきしゃくやくさん加味逍遙かみしょうよう散、桂枝茯苓丸けいしぶくりょうがんなどをよく用います。漢方独自の体質を診るものさし「証(しょう)」を見て患者さまに合った漢方薬を用いるとすごく効くことがあります。漢方薬を一定期間服薬しても無効な場合は、HRTというホルモン補充療法をします。これは減少したエストロゲンを補う治療法でさまざまな更年期症状を軽減することが可能です。

 具体的には2種類のホルモンを服用したり、皮膚に貼付ちょうふしたりします。乳がんを見逃してホルモン療法をするとがんの進行を早めますので必ず事前に乳がん検診をお勧めします。

 うつ・不安・不眠などの精神症状が重い場合には向精神薬なども考慮します。最近では大豆イソフラボンなどのサプリメントも使われつつありますので、更年期障害の治療に詳しい産婦人科を受診されてみてください。

『本願寺新報』2021年7月20日号掲載