子どもにワクチン大丈夫?/お悩みQ&A

子どもにワクチン大丈夫?

モデルナ社やファイザー社のワクチンはmRNAワクチンというもので、合成RNAの分子をヒトの細胞に導入するそうです。子どもたちが成人して、子を授かりたいといった時に卵子や精子への影響が出ないか心配です。

(45代男性)

生殖機能に影響はない 未接種だと重症化する

一石英一郎〔国際医療福祉大学病院(栃木県那須塩原市)教授 消化器内科副部長 予防医学センター〕

 モデルナやファイザーのワクチンはmRNAが含まれたもので、別名〝遺伝子ワクチン〟とも呼ばれます。
 ではなぜ、このmRNAワクチンが心配されるのかというと、それはこのワクチンの成分が合成RNAであり遺伝子として働くので、それが体内に入ることで遺伝子として働いて、精子や卵子にまで影響が生じてしまうのでは?という心配ではないでしょうか。
 その心配は無用でしょう。RNAという分子は非常に不安定で瞬時に分解されて消失してしまいます。RNA分解酵素(RNAを壊してしまうタンパク質)は体のいたるところに存在し、RNA分子は体内に入るとすぐにこの酵素で壊れてしまいます。その短い存在時間の中で、細胞内でスパイクタンパクという重要な成分を作り、役割を果たすと速やかに分解されてしまうのです。
 免疫細胞がこのスパイクタンパクによる反応によって、新たな「抗体」を獲得して新型ウイルスに備える準備が整う訳です。
 腕の筋肉に注入されたRNA分子は、そのように速やかに消失してしまうので精子や卵子にまで影響を与えることはありません。
 厚生労働省のホームページの「ワクチンQ&A」においてもワクチンは生殖器(精子や卵子)には悪影響はないと明記しています。米国CDCも妊娠計画者にワクチン接種を推奨しています。

 ワクチンによる生殖器への心配からワクチン接種を躊躇ちゅうちょしてしまい、未接種で感染して重症化すると、後遺症で精巣障害など男性不妊が起こる可能性があります。

 

 (香川県東かがわ市・三寳寺門徒)

『本願寺新報』2021年9月20日号掲載