最近、リモートワーク(自宅勤務)が続いています。外出を自粛し、同じ姿勢でデスクワークをしているせいか体がこわばっているように思います。特に腰なのですが、重くだるいのです。体重も減らさないといけないのですが、効果的なストレッチなどあれば教えてください。
(45歳男性)
「これだけ体操」してみては 痛み続く場合は受診して
園淵 和明 [三菱神戸病院(神戸市兵庫区)整形外科 担当科部長]
〝腰痛〟は、私たちが生きる現代社会において最もありふれた症状の代表格で、日本の職業性疾病の約6割を占め、WHO(世界保健機関)を含む海外の調査でも、生活に支障を与える疾患の第1位と報告されています。なかにはがんの転移などの重篤な病気が原因のこともあり、頑固な痛みが続く場合は医療機関を受診すべきです。一方で、多くの腰痛は医療機関を受診しても原因がはっきりとはわからない〝非特異的腰痛〟と呼ばれるもので、腰痛症の約85%がこれに該当します。病因の特定が難しいため、確立した治療や予防法がないのが腰痛の現状です。
今回のご質問では、デスクワークに伴う不良姿勢に関連して生じた〝筋・筋膜性腰痛〟が最も考えられます。長時間の座り作業で前かがみの姿勢が続くと、腰椎が後弯して背筋が引き伸ばされることで痛みが生じます。さまざまなストレッチや体操、運動療法などがあるなかで、前述したように確立した治療や予防法はないのですが、今回は「これだけ体操」をご紹介します。東京大学の松平浩医師が勧める〝腰を反らすだけ〟の体操で、1回約3秒でできるシンプルな体操ですが、座り作業による腰痛の発症、悪化、再発を防ぐのに効果があるとされています。
「これだけ体操」にはほかにも〝腰を屈めるだけ〟〝腰を横に曲げるだけ〟の体操もあり、動画共有サイト・ユーチューブでも実演されていますので、インターネットで「これだけ体操」と検索してみてください。無理のない程度に取り組んでみましょう。
(大阪市西淀川区・西法寺衆徒)
『本願寺新報』2021年10月01日号掲載