インフルエンザワクチン必要?/お悩みQ&A

インフルエンザワクチン必要?

先ごろ、新型コロナウイルス感染症のワクチンの2回目を接種しました。医院の前にはインフルエンザワクチンの案内が張り出されていました。マスクなどウイルスに用心しているので、インフルエンザワクチンは打たなくてもいいでしょうか。

(60歳男性)

国境を越える人の移動が再開すると流行の可能性

永松秀康〔ながまつ内科・小児科クリニック(大分県豊後高田市)院長 消化器内科〕

 2年前に中国で発生した新型コロナウイルス感染症は、急速に世界中に拡散しました。わが国においては、先月までに感染者は累計で166万人を超え、死亡者は約1万7000人となっています。
 一方、昨シーズンのインフルエンザについては、コロナウイルスとの同時流行も危惧きぐされましたが、幸いなことにインフルエンザウイルスの検出報告はほとんどみられませんでした。これは、手指衛生やマスク着用、三密回避、国際的な人の移動の制限などの感染対策がインフルエンザの感染予防についても効果的であったと考えられます。
 では、今シーズンについてはどうでしょうか。南半球の感染動向が北半球の日本でも参考になります。オーストラリアからのインフルエンザ確定患者数は昨年同様きわめて少数でした。北半球でも流行を認めないのではないかとも考えられますが、亜熱帯地域であるバングラデシュやインドでは今夏にインフルエンザの流行を認めています。
 これらの地域でウイルスが保存され、今後国境を越えた人の移動が再開されれば、世界中へウイルスが拡散される懸念があります。
 英国政府は昨年流行がなかったことなどから今年は早期に流行が始まり、例年の1.5倍の大きさになる可能性を懸念し、わが国の医学会(日本感染症学会)は今シーズンのインフルエンザワクチン接種を推奨しています。
 よって、みなさんもインフルエンザ予防接種を受けるようにしましょう。

 

 (大分県豊後高田市・浄周寺住職)

『本願寺新報』2021年10月20日号掲載