息苦しいのは喫煙のせい?/お悩みQ&A

息苦しいのは喫煙のせい?

風邪をひくと治りが遅く、たんせきが長く続きます。長年喫煙をしていて、現在、本数は減らしましたが喫煙は続けています。 健康診断では異常なしと言われましたが、妻に誘われてハイキングに行った時、苦しくて歩けなくなり周囲に迷惑をかけてしまいました。改善する方法はあるのでしょうか。

(62歳男性)

COPDが疑われます早めに専門医療の受診を

竹腰たけこし あつし 総合犬山中央病院(愛知県犬山市)呼吸器内科部長

 長年喫煙をされる男性の方に発症しやすい疾患としてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)があります。40歳以上で風邪をひくと回復に時間がかかり、咳、痰が長引くことや労作時の息切れも強くなっていることからCOPDの可能性が高いと考えます。
 COPDの最新の定義は、タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することなどにより生ずる肺の病気です。呼吸器機能検査で気流閉そくを示します。胸部X線およびCT画像で気腫きしゅ型は気腫性陰影が多く、非気腫型は気腫性病変がないか微小に留まる特徴があります。
 健康診断で異常なしと言われたとのことでおそらく画像検査も受けておられるでしょうから非気腫型の可能性が高いと思われます。治療法としては薬物療法と非薬物療法があります。薬物療法では気管支拡張剤が主体になり、吸入療法が多く、他に貼付剤ちょうふざい、内服薬があります。非薬物療法は禁煙、呼吸リハビリテーション、酸素飽和度が低い場合酸素療法があります。喫煙本数は減らせていても完全に禁煙できていないため、現在の状況を改善するにはまず禁煙することが優先と考えます。

 長期に喫煙を継続している場合、ニコチン依存の状態から自助努力で禁煙できないことも多く、その場合は禁煙外来での薬物療法も有効です。COPDは進行すると呼吸不全になり、日常の活動がかなり制限され、QOL(生活の質)も低下しますので、早めの専門医療機関への受診をお薦めします。 
『本願寺新報』2022年1月10日号掲載